お前に任すから原因を究明しろ


私が現役の技術者だった時、担当以外の交換機(電話を繋ぐ専用コンピュータ)の障害について原因を究明しろと上司から指示されたときがあります。その交換機を担当する社員は一人で、毎回、ハード障害であったと報告書をお客様に返してました。そのお客様から本当にハード障害であるのか疑義を受け、再調査の依頼が来たのが発端で私に協力依頼が回ってきました。引き受ける条件として、まず、スタッフを1名選抜して3名のプロジェクトとして調査をさせて欲しいと言いました。また、時間外労働(残業)の制限もしないで欲しい旨の条件を上司に進言しました。上司は、「分かった。お前の好きなようにやってくれ」と言われた経験があります。

まず、過去一年間の障害の報告書を見せてもらいました。確かに障害が発生している場所は、異なりますが、原因はハード障害のため、CPUを搭載する機械の取り換えを依頼する内容になっていました。この交換機は、故障が起きたときに自動で予備の機械に切り替わる仕組みになっています。そのため、通話中の電話は切れることなく続けられます。ただし、新しい電話の発信や着信は、切り替えの間、約1分間できなくなります。その後、故障していた元の装置を新しい部品に交換するといった修復作業が待ってます。これで、利用者の通話への影響は最小限で済むようになっています。

次に調べたのは、調査観点を3人で相談しながら抽出し、それぞれの観点をホワイトボードにとりまとめそれぞれの観点を誰が調査するかを決めました。その一つに障害が発生する直前にどのようなソフト処理を行っていたのか、過去1年分のデータを元に解析を実施しました。しかし、共通点はなく、ハードウェアが突然、障害に至ったという結論になりました。
その他、何か工事をしていなかったかなど、考えられる調査観点はすべて調査しましたが、ハード障害にしか見えませんでした。

それを各項目毎に比較できるようにまとめ、原因は、やはりハード障害であったとまとめて上司に報告しました。それを東京の本社部門に事前に紹介し、その資料でお客様に納得してもらえるレベルになっているか判断してもらい、「よくここまで調べてくれた」とお褒めの言葉を頂きました。

その資料をもって、東京に集まったお客様に説明をし、報告書に疑義をもっていたことが取り除かれました。
最後に「お前に任すから…」の言葉は、自分を頼りにしている信頼しているとの証なのでプロジェクトを解散する際も、やり切ったという達成感を持つことができました。
難題でも上司の言葉ひとつでやる気が出たり、終わった時の達成感、仲間との信頼関係が増すものだと感じた事例でした。

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