現役時代の話ですが、半期に一度の業績評価(ボーナス査定)の時期は、どこから漏れるのかは分かりませんが、他者との評価で、「なんであいつより俺が低いねん」と文句を聞くことがしばしばありました。自分の半期の努力が足らなかったと考えるのではなく、他者と自分を比較してしまうのです。
私が管理者だった時期の評価基準は、「量」「質」「価値創造」の3点をもとに、期首(3月)に部下の目標設定について面談をしていました。目標が簡単に到達できるか、無理なものか、背伸びして頑張れば到達できるかを話あい目線を合わせていきます。そして、半期ごとにその目標が達成できたか、実行中なのか、実行もできていないのかを面談で確認し、評価していきます。
その結果が業績評価につながるのですが、想定していた評価より低い社員は不満を持つことが多いのだと思います。そういう自分もまた、部長から業績評価通知を受けるのですが、評価をつけるにあたっての説明を聞いて、文句を言ったことは一度もありません。高い低いで一喜一憂せず、半年間の自分の目標達成できなかった部分を修正し、逆にうまく進んでる目標はさらに高めるように考えるようにしてました。
他人と比較しても個人ごとに目標は異なるし、他人の目標が自分より優れていて実績も残しているものだと考える。また、自分が立てた目標の達成具合を自分なりに俯瞰して見なおすことに心がけていました。まぁ、ここまでは、良い話だと思うのですが、私自身は評価を気にしていないというのが本音です。往々にして、評価が高い人材は、特別に頑張らずとも日々の業務を着実に実行していれば高い評価が与えられるものだからです。
問題は、他者と比較してしまう社員の方で、他者と同じ目標設定ではないにも関わらず、自分の方が他者より優れていると考えてしまう。目標設定の難易度も異なるのにです。そういう社員と業績通知面談を行う時は、非常に疲れます。まず、目標達成できているのかを聴き、その目標を達成するのにどんな工夫や努力をしたのかを確認していきます。そうすると他者と比較するのではなく、自分の過去と比較するような考え方に変わっていきます。
話は変わりますが、自分が一般社員として東京へ単身赴任していた時のがありました。その職場で尊敬する上司に一つのことを言われたことがあります。「××君、10年先の理想の自分をA4一枚にまとめなさい」フォーマットも決まっていなく、自分の理想とする技術者像をまとめてみました。上司に見せると肯定も否定もせず、その書いた資料を大切に保管しておきなさいと言われました。10年後、その資料を見たとき、自分がそれを見て、可愛らしいことを書いているなと思いました。そうです、10年前の自分より今の自分の方が成長していると感じた瞬間でした。
「他者と比較するのではなく、過去の自分と比較する」ことで、自己成長感を感じることができるのではないでしょうか。


コメント
最後の話は、とても心温まるいいエピソードですね。
自分も10年後の姿を書いてみようかな。なんて思ったりもしたり。しなかったり。。。
そうですね。私のサラリーマン人生で今でも忘れないエピソードです。また、そんな指導をしてくれた上司と巡り会えたことに感謝してます。いまだにLINEで時々、話はしています。
少し脱線するかもしれませんが、子ども同士を比べるのって良くないってよく言いますよね。だから「お兄ちゃんに比べて弟は…」みたいな言い方はしないように気をつけています。子どもが傷ついたり、劣等感を持ったりしないようにと思ってます。
そうですね。私は、長男で次男の弟がいたのですが、次男が親に求めることを言うと聞いてあげるのに、自分が同じような事を親に求めると、「お兄ちゃんなんだから辛抱しなさい」と幼い頃に言われたことがあります。人と人とを比較するのは、避けた方がいいと思います。