縁側で釣りとしている。ときどき湖から疏水を通
って鮎がやっていくるのだ。運河よいとウナギが
釣れる。この間の朝などは、サギがじっと魚を狙
っていた。感心なものだ、上空からこの池に検討
をつけて降りてきたのだな、と思って、ふと掛け
軸に目をやると、そこにいるはずのサギがいなか
った。おや、と、もう一度池を見ると、一瞬前た
しかにいたサギもいない。面妖なこともあるもの
だ、と再び掛け軸に目をやると、すでに帰り着い
てそこですましている。油断も隙もない。
池には今、小さな睡蓮が咲いている。ヒツジグサ
という名だそうだ。
よく付けたもので、未の刻になると律儀に花が開
く。この水草が、最近「けけけっ」とたいそうけ
たたましく鳴く。ヒツジなら他の鳴きようもあろ
うに。サルスベリはあまりこの花を好かないらし
い。これが咲くといかにも嫌いそうに幹が反る。
俺は揉め事はまっぴらだよ、と言ってあるので今
のことろ大事には至っていない。
ヒツジグサ
心

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