天下は実に春で。
雲はのぼせてぼうつとしてるし。
利根川べりのアカシヤの林や桃畑の中をあるき。
おつけのおかずになずなをつみ土筆をつみ。
なんとも美しいバラの新芽をつみ。
樹木や草からは新しい精神が。
それがやはらかにぬくまつて燃え。
六羽小鳥たちはまずしくうるむ空をかすめて。
流れよくその方向遥かに。
雪の浅間の噴煙が枝々の十文字交叉をとほし
て・・。
虫たちも天に駆けあがりたいこの天気に。
ああ、実際。
土筆の頭の繁殖作用や。
せきこんで水を吸ひ上げる樹木の内部の活動や
風のそよぎや。
よろこびのものうい音楽はみち、
なずなをつんでるおれとおまへよ。
尾長猿のように木をとびまはり夜叉になり。
この豊満をなきたくなり・・。
春
心

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