私はパリで大人になった。
はじめて異性に触れたのもパリ。
はじめて魂の解放を得たのもパリ。
パリは珍しくもないような顔をして
人類のどんな種族をもうけ入れる。
思考のどんな系譜をも拒まない。
良も不良も新も旧も低いも高いも、
凡そ人間の範疇にあるものは同居させ、
必然な事物の自浄作用にあとはまかせる。
パリの魅力は人をつかむ。
人はパリで息がつける。
近代はパリで常熟し萌芽し、
頭脳の新細胞はパリで生まれる。
フランスがフランスを越えて存在する
この底なしの世界の都の一隅にいて、
私は時に国籍を忘れた。
故郷はと遠く小さくけちくさく、
うるさい田舎のようだった。
私はパリではじめて彫刻を悟り、
詩の真実に開眼され、
そこの庶民の一人一人に
文化のいはれをみてとった。
悲しい思いで是非もなく、
比べようもない落差を感じた。
日本の事物国柄の一切を
なつかしみながら否定した。
パリ
哲学

コメント
拝見、そして拝読を致しました⭐
一連の記述に感じたことは
ことばを紡ぐ…
とゆう事でした
文化であり
偉人たちの遺した記憶であり
そして日々の揺れ動くこころへの
踏み込んだ思考であったり
加えてそれらは十四行詩(ソネット)のような美しさを伴って語られていること
留めようもなく流れてゆき
常に動きつつある時間(クロノス)は
生けるものすべてを押し流し運び去り
やがて…闇の底へと沈めてしまう
12世紀のビザンツ帝国の才媛、アンナ・コムネナは
父アレクシオスの伝記を
このように書き出していたことを思い出しました
なぜなら、記事のなかに同じ時間を過ごすなら丁寧に
のところにあります
とかく技術が進んだ今
分かり易い派手なものが持てはやされ
思考や言葉がないがしろにされている傾向を感じるからです
そのなか、(ぼくは短歌を文語で作っているので)
野分という美しい台風の古語を記事にみつけたときに
ことばを大切にされておられるのだなぁ…
と嬉しくなりました
どんなに、便利な時代になったとしても
ひとが思考をしなくなったら
その先には滅びが加速的に訪れる気がします
その便利さ楽さを支えるのは、やはりアナログの思考だと思います
どんな鳥だって想像力より高く飛べやしない
文字を打ちながら寺山修司の
この言葉も記憶の底から浮かび上がってきました
雑文ですが詩的な言葉たちにコメントをさせていただきました
追記…ぼくも昔パリにいってポンヌフやモンマルトルを渡り、登り
パリは何故か曇り空が似合うなって…
これまた思い出しました
とても爽やかな読後感がありましたので雑文を打ち込むついでに
ぼくの拙歌も添えてコメントを終わりにします笑笑
帆船の溯上のやうに白鍵の継ぎ目を辿るソリストのゆめ
リュヌは月、アスピスは毒蛇の辞書 蔵書閲覧まつ間まひるま
ありがとうございました!🌙
長文のコメントありがとうございます。
また、他の投稿で感じることがあったらコメント頂ければ幸いです。
パリのタクシーの運転手に頑張ってフランス語で行き先を告げても通じませんでした…
それは残念でしたね。今ならスマホでフランス語に変換して伝えることができたのにね。